【神戸邂逅】TEAM クラプトン・山口晶さん#2 みんなでつくることで、同時につくられるもの

【神戸邂逅】TEAM クラプトン・山口晶さん#2 みんなでつくることで、同時につくられるもの

連載企画【神戸邂逅】とは

koubekaikou神戸およびその周辺地域にて、大資本が集まる東京とは一線を画すような取り組みを行う人に焦点をあてたインタビュー企画。邂逅とは偶然めぐりあうという意味。思いもよらなかった神戸の魅力に出会えるかも。


本企画6人目としてご紹介させていただくのは、内装業を主として営むTEAM クラプトンの山口晶さん。”みんなでつくろう”をコンセプトに、多くの人を交えてものをつくり、自然と人の輪も生まれる。そのコンセプトの発端は”人々をつなぎたい”とか”孤独を感じる人をなくしたい”といった高尚なモチベーションからではなく、みんなでつくることの楽しさが原点にありました。ただ、そんな純粋な動機から生まれたコミュニティだからこそ生まれた思わぬ副産物がありました。


 

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山口晶

TEAM クラプトン

みんなでつくろう”をテーマに、施主や友人、近所の人々、
SNSでの呼びかけに呼応した一般の人々とともに、
ものづくりに取り組む。近年若手職人の工房やセンスの良いショップが
軒を連ねるようになった王子公園高架下にベースを構えている。

”みんなでつくろう”の副産物

―いま施工中の現場はバーのようですね。飲食店の施工が多いのでしょうか。

取材に伺ったときも大阪・北新地にてアミューズメントバーを施工中だった。現場では、スピーカーから心地よい音楽が流れる

「はい。バーの施工がなんで良いかって、完成後のオープニングパーティとかで、手伝いに来てくれた人みんなで乾杯するビールがおいしいからなんですよ。そこはぼくらも自信を持って言えるから、”一緒につくろうよ”って誘いやすいんです。単純にお店に通い詰めてマスターと顔見知りになるとかじゃなく、そこに自分が塗った壁があると、それは誰かとの話題になるしそこでまたコミュニケーションが生まれるじゃないですか」

―お店ができる前から人々の出入りがあるという意味では、施工中からお店が半分オープンしている感じですね。

「そうですね。施工の手伝いに来てくれた人がお店のオープン前からSNSとかで“今日は○○でペンキ塗りしてきた!”と、お店の告知をしてくれる。そして、その人たちは、必ずオープン後も来店してくれる。だって、部分的にではあれ自分が作ったお店だから。施工参加者が、そのままお店の未来のお客さんになる。だから、“みんなでつくろう”というコンセプトは、飲食店に向いているんですよ。これは“みんなでつくろう”のバイプロダクト(副産物)であるけど、それ以上の意味があると思います」

―一過性のイベントに終止することなく、切れ目のない関係性が続いていくのがすごいですね。現場にはどんな人が手伝いに来られるのでしょうか。

「いろいろな人が来ますよ。職種はさまざま。ただ、お施主さんが多いかもしれません。昔のお施主さんと未来のお施主さん。昔のお施主さんたちは、現場の楽しさを既に知っているから、それが忘れられなくて遊びに行く感覚で来てくれます。でも、もしかしたら彼らはいろんな人に手伝ってもらった経験があるから、申し訳なくなって来ているのかもしれないけど(笑)」

こちらは王子公園のゲストハウス萬家の施工の様子。のべ300人を超える人々が施工に参加したという。人手が増えることで、工期の短縮や、コストカットができるので写真のような螺旋状の手の込んだデザイン(ラウンジ)を制作する余裕が生まれてくる

―ものを作ることでコミュニティが生まれるということを、クラプトンの活動のなかで再認識できた経験などはありますか。

「例えば、いまこうやってぼくらの会話が成立しているのも、このインタビューがあるからじゃないですか。会話を成り立たせるためには、たぶん何かのツールが必要なんです。現場には、外国人たちも手伝いに来てくれることがあるんですけど、彼らと英語を話せない日本人の間でもコミュニケーションがとれていたことに気付いたことですかね。“何を何センチで切って”とかっていう会話は、案外通じるんです。それは、みんなでひとつのものを作るっていう共通の目的があるからなんじゃないかって思って

1年半かかった公園の利用許可と、その目的

―ここまでお話を聞いていると、コミュニティを作ることが主目的で、むしろ内装業はそのための手段といえるのではないかと思えてきたのですが。そう考えると、コミュニティを作るための手段は建築のほかにもありそうですが、何か考えていることはありますか。

「やはり、ぼくらは内装なり建築なり何らかのものをつくることが大前提にあります。だから、コミュニティをつくりたいがために、クラプトンの活動をしているわけでもない気がします。ただ、みんなでものを作るという行為は、必ずコミュニケーションを生みます。例えば、ぼくら結婚式も作りました」

―結婚式から生まれるコミュニケーションですか。

「普通の結婚式って、知っている人同士だけで固まったままじゃないですか。ただ、新郎新婦は、きっと出席者みんな仲良くなってほしいと思っているのかなって。その方が、みんなと一緒に楽しめる時間も増えるから。じゃあぼくらがやる結婚式がどんなものかというと、結婚式の準備・設営・料理を出席者でやってもらうんです。料理班とか装飾班とかで別れて、準備をする。それも結婚式の第1部なんですよ。そして第2部に、みんなで作った会場でみんなで作ったご飯を食べる」

撮影:片岡杏子

撮影:片岡杏子

―それはまた斬新ですね。その場で、未来の新郎新婦が生まれそうです。

「単にホテルまで結婚式にいっておめでとうを伝えて楽しかったね、で終わるのじゃなくて。みんなで式を作ることで、費用も安く抑えられるし、その方が思い出に残るのかなと思います。ちなみに、自分の結婚式もその形式でやりました。神戸市から許可を頂いて、みなとのもり公園で。許可をとるのに、1年半も掛かりましたけど(笑)

撮影:片岡杏子

―公園での結婚式というのは、今までの公園の利用用途の中に、絶対になかったことですね。

「いまの公共空間ってどこか閉ざされたものに、ぼくは感じることがあって、だれにも嫌な思いをさせてないのかもしれないけど、ハッピーにもしていないと思うときがあるんです。ぼくらとしては、結婚式に限らず、公共空間をもっと気軽に使える場所にしていきたくて。“公的空間を私用目的で使うのはどうなんだ”という議論はもちろんあったようなんですけど、“私たちのやる結婚式は私用じゃなくて、たまたま公園にランニングに来た人、犬の散歩に来た人、そんな人たちが誰でもドリンクを購入できたり、結婚式を一緒に喜んだり、フラっと参加できる、開けた結婚式なんです”って神戸市には伝えた記憶があります」


公園での結婚式について、”もっと田舎の場所だったら、許可を得やすいのだろうけど、逆に東京とかの規模になると、そもそも許可がおりないんじゃないか。だから、神戸は許可がおりそうな街で一番大きな街なのでは”と山口さんは話していました。公共施設の活用の幅が広がると、神戸のまちとしての独自性や魅力につながりそうですね。次回は、資本主義経済の行き詰まりが叫ばれる昨今、これからの新しい社会を考えるきっかけとなるようなお話をしていただきます。

次回#3は、1月19日(金)公開予定

仲村 友樹

政治、ビジネス、文学、アート、自然まで色々なことに興味があります。むさぼるように読む本や雑誌からの知識でぼくは成り立っています。ただ、頭でっかちにならないように一応は気をつけているつもりです。

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