時間をかけてもかけすぎることはない校正という作業

時間をかけてもかけすぎることはない校正という作業

① A増水を押さえる/B増水を抑える

突然ですが、AとB、どちらの表記が正しいと思いますか?

答えはB。両者を見比べると、「どうみてもBでしょ」と思われる方もいるかもしれませんが、以下のように周りの文章に溶け込んでいると、意外と間違いに気づき難いものです。

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② A幸福を追求する/B幸福を追究する
こちらはどうでしょうか。
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、両者に正解はありません。どちらの用法も正しいといえば正しいのですが、下記のように、意味したい内容によって、使い方を分けなければなりません。

 

「幸福になりたい」→幸福を追求する
「幸福とは何かを探りたい」→幸福を追究する

 

このように誤字・脱字を見つけたり、文脈にしたがって適切な単語が使用されているかを確認したり、写真やデザインの色合いにおかしな部分はないかを確認したりすること(パソコンの液晶上で見える色味と、印刷紙面上で見える色味には意外と差があります)は「校正・校閲」といって、私たち編集者の大事な仕事の1つです。今回は、精確な制作物を仕上げるために必要な校正の工夫について、ご紹介したいと思います。

校正の流れ

まず、校正の第1段階はお客さまからいただいた原稿を確認することから始まります(自分で取材などをして執筆した原稿は、他の編集者にもチェックしてもらいます)。誤字、脱字、改行、行頭の一字下げなどの基本的なことが行われているかを確認し、問題がある箇所を修正します。

それが終わると、デザイナーへ原稿を渡し、紙面が組み上がるのを待ちます。紙面が組み上がると、ようやくお客さまにお見せ・・・したいところですが、まだ、編集者がしなければならない作業があります。それは、デザインの指示書(簡単なレイアウト・構成案のこと。これも編集者が作ります)通りに原稿があてはめられているかという確認作業です。要は、誌面デザインが出来上がる「前」と「後」の2回に分け、校正作業を行うのです。

デザイン「前」校正

→単純な文章の誤植の確認

デザイン「後」校正

→見栄え的な問題の確認、誤植の再チェック

予定していたスペースに収まっているか、文章の配置は適切か、写真とキャプションの組み合わせが正しいか、誤植の再チェック――など、さらに修正の有無を確認していきます。文章量やデザインを調整し、問題がなくなると初校原稿になります(ここで初めてお客さまに原稿をお見せします)。

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修正すると、生まれる修正点・・・

お客さまに初校原稿を提出した後は、お客さまから届く修正を随時反映させていきます。お客さまの修正内容を確認、この後の編集者の役割は、お客さまからの修正が確実に反映されているかを確認することが主となります。

ここでのポイントは、修正を反映させたことにより、新たに発生し得る問題点に気付けるかどうかです。例えば、文章についてお客様から以下のような修正依頼が来た場合。
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これをそのまま反映させると以下になります。

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お客様さまの言う通りに修正は反映されていますが、1つ問題点があります。どこだか分かりますか。答えは末尾から4行目。行の先頭に「、」読点がきてしまっています。このように単に言われた通りに修正を反映させるのではなく、それによって新たな問題が生まれていないか再度チェックする忍耐が校正作業には必要となります。

以上が基本的な制作物の校正の流れです。当初は印刷前にはらはらドキドキ。一度確認したにも関わらず、「もう一度確認したい」と不安になることもしばしばでした。では、どうしたら自信を持って印刷作業へ原稿を送り出せるのか。私の原稿確認の必須作業が、印刷前の色校正紙(本番印刷前のテスト印刷)での一言一句ごとの丁寧な読み合わせ、資料や取材ノートとの突き合わせです。確認した文字の上には線を引いていくので、最後には全ての文字に線が引かれることになります。それを見ると「ここまで確認したから大丈夫」と思えるようになりました。

今、人工知能が話題になっていますが、文章中の誤字・脱字を拾うだけではない確認を行っている校正の作業は、パソコンの校正機能に頼れないのが現実です。まだまだ制作物の現場では、人の目で「確認する」という原始的なことが一番頼りにされている気がします。

仲村 友樹

政治、ビジネス、文学、アート、自然まで色々なことに興味があります。むさぼるように読む本や雑誌からの知識でぼくは成り立っています。ただ、頭でっかちにならないように一応は気をつけているつもりです。

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